学校医
2023年4月28日
わかくさ病院で働き出してから約20年経つが、今年度初めて小学校の学校医になった。病院に一番近くの学校であるので、患者さんや職員のお子さんも少なからずいる。また昔から訪問診療や通勤はもちろん、子供時代から学校風景を眺めてきた。だから何千回も通ってきた校舎や校庭に馴染みはあった。今回校内に入り診察をするのは感慨深く、地域の医師として児童の健康や成長に力になれることはとても嬉しかった。子供は親だけでは育たない。地域で育つと信じている。ご縁を感じてそれに感謝しながら務めていきたいと思う。
縁を感じられることは我々の人生において一つの幸せなことだ。あたかも神様や誰かの力に導かれたように、何気ない過去と今、人と人とが繋がっていたと感じられる。いつでも縁を大切にできる人でいたい。
笑顔の人
2023年4月26日
また一人大切な患者さんを見送った。その人はいつも笑顔だった。毎月飲みに誘ってくれた。旅行にも何度か誘ってくれた。結局彼女の一番好きなお酒を一緒に飲みに行くことは無かった。
毎月聴診していた彼女は、約4年前のあるときから恥ずかしいと言って聴診をさせてくれなくなった。それから何ヶ月か経つと左の乳房から出血が止まらないと緊急受診。明らかに乳癌だった。肺、骨、肝、そして脳まで転移していた。「もう他の医者にはかからない!」と他医療機関を紹介した僕にいつもの笑顔で言った。3年半、信頼する乳腺医の先生に相談しながら、化学療法とホルモン療法を続けた。小さくなる病変と減っていく腫瘍マーカーに、甲斐甲斐しく世話する優しいご主人と喜んだ。しかし本人は「私の人生は、お酒飲んで笑っているだけだから。痛くないようにだけにして。」と、自分の進行癌多発転移とその治療にはあまり興味がないようにも見えた。しばらくコントロールがついていたものの、今年になり病勢が悪化した。
彼女はいつも機嫌が良かった。機嫌を取る必要もない関係が医師として心地良かった。いつも笑顔でいること、つまり上機嫌でいることこそが人の幸せだと教えてもらった。いつの日か天国で一緒にお酒を飲みたいと心から思った。
ありがとうございました、ゆっくり休んで下さい。
心の傷
2023年4月25日
心の傷のだいたいは、誰かの言葉で負う。言われてきた無関心で不機嫌な言葉たち。それらでできた心の傷はなかなか癒されずにいたりする。いくら人間が感情の生き物だって言ったって、怒りに任せて、言ってはいけない取り返しのつかない言葉を言う人がいる。言う方も言われる方も、いくら親子でも夫婦でも、他人で別人格であることを決して忘れてはいけない。だからって自分の心の傷を癒そうとして、他人を支配しようとすることもいけない。心の傷を癒すために、楽しむこと、感謝することを忘れない。自分をかけがえのない人だと信じて、これからもっと愛していくことで、いつのまにか癒やされていくから。
やさしさを感じる
2023年4月21日
やさしい人がいる。話を聞いてくれる。傷ついた気持ちを撫でてくれる。額の汗を黙って拭いてくれる。喜んでいると喜んでくれる。陰の努力を見てくれている。元気がないと元気づけてくれる。やさしいのに見返りを求めていない人。人のやさしさが感じられる人でいたい。
大人のルール
2023年4月19日
自分のやっていることが上手く行かず、不機嫌になり、怒鳴ったり、物に当たったりして、周りに罪悪感を与える人がいる。そういう人の機嫌を取ろうとすると、こちらはすり減るだけである。不機嫌な人は放っておくことを勧める。言っておこう。どんなときも不機嫌は100%自分の責任である。他人のせいにして、自分が楽になりたいだけである。自分自身で機嫌を直すべきである。不機嫌になったとしても、自分で機嫌を取れなければ幼児である。それが大人のルールだ。おもちゃが欲しいと怒鳴り散らすのと、あなたが愛してくれないと怒鳴り散らすのと実は大きく変わらないので。