院長ブログ

正義と対立

2023年5月29日

 ロシアとウクライナの戦争が続いている。どちらが悪いとかを言うつもりはないが、お互いが自分たちの正義のために殺し合い、壊し合いをしている。僕たち人間は自分の正しさ、正義を貫いて相手を憎み、対立を続ける。法律があるものはそれが正しいかどうかは明示されているが、正義なんて一人一人違うし、時間や時代によっても変わる。それを相手に求めていたらぶつかり、お互い傷つけ合うのは目に見えている。正義は主張するためにあるものではなく、自分を支えるためにあるのだ。もしそれがぶつかるのであれば、お互いの正義に目を向けて同じ方向を見られる、協調路線を取れないかを自分の中だけでも視点を変えてみる。相手だって対立して傷つきたくない。対立するために僕らは生きていないのだから。


見返りを求めてしまう

2023年5月24日

 病気で困っている人を助けるのが医師の仕事である。でも自分が困っていると助けられない。また助けられないのも罪悪感が湧く。

 職員が働きやすいようにするのが院長としての務めである。しかし自分が働きにくいと務まらない。また職員が働き過ぎてしまうのも申し訳ない。

 あまりにも他人の困っていることや仕事を抱えてしまうと辛くなるのが人間である。また一方で、他人の役に立てないのが辛いのも人間である。できれば周りを助けて役に立ち、そして気分良くいたい。その加減が難しいのである。しかし他人のためにエネルギーをかけながら、その見返りを求めてしまう自分がそこにいたら、もうその時点でいっぱいいっぱい。例えば「給料や手当てを上げて欲しい」とか「あなたは何もしないで私ばっかり苦労してる」と言ってしまう感じであろうか?ちなみに見返りを求めないのが愛である。


人を許す

2023年5月22日

 自分を侮辱した人、虐待した人、無視した人、追い出した人、傷つけた人、振った人がいる。2度と顔も見たくないし、口も聞きたくないし、呪いたいと思ったこともあったかも知れない。同じ名前の別人物すら嫌な気分になったかも知れない。そんな人たちを思い出しては「関係ないね」と無意識に追いやった。しかし無意識の中からまた出てきては、自分のエネルギーを奪っていく。でもそんな人たちを心の中で許せるかで、きっと成長できる一歩が踏み出せる。許すことができたとき、「そんなこともあったな」と時々思い出しても、今度はエネルギーをくれるようになる。それにはまず、ありのままの自分を受け止める。そして今までの自分の全てを許すのだ。自分を許せない人に、他人は許せない。


猿之助について

2023年5月20日

 市川猿之助の件はショックだ。何度か舞台を観てパワーをもらったことがある。そして彼は才能に溢れ、エネルギーのある人物だと疑わない。しかし今回の件を知り、たくさんの気持ちが交錯した。

 歌舞伎役者はほとんどが世襲である。名門に生まれた彼は、幼い頃から周りに期待されていたのは容易に想像できる。そしてその期待にしっかり応えて、現在一流の役者である。更に役者は客にどう見られるかが勝負の世界。そしてその評価がついて回る。

 猿之助とは住む世界が違うし、彼のように才があるかは分からないがどうしても自分と重ねてしまう。世襲による職業家業については、僕も何とか期待に応えようと幼い頃から自分なりに頑張ってきた。また若くして責任のある立場をもらい、周りからどう見られかを求めてきた。つまり周りの評価を自分の生きる目的となりがちであった。だから周りの評価ばかりを追い求めると生きづらくなるのは理解できる。今回はどうもそれが出来事の契機となったように思う。しかし誰しもが自分の求める人生を送ることこそが幸せだ。やりたいとかこう在りたい、といったことが何よりも大切な真理だと考える。だから華やかに見える彼も、若い頃から他にもたくさん苦しんだと思う。回復してその姿を舞台で見せて欲しい。


一つ一つ終わらせる

2023年5月19日

 食事が終わったら片付ける、洋服を脱いだら畳む、一日の仕事が終わったら仕事を忘れる、今日一日の終わりにぐっすり休む、節目の行事を楽しむ。その一つ一つの集合体こそが我々の生活であり人生だ。しかしそこには悔しい、許せない、悲しいと思う出来事が必ず起こる。そういった負の感情たちにどれだけエネルギーを奪われ続けられないかで、人生の幸せが決まる。一度の失敗、失恋、誰かの失言だけで何年も何十年も、人生が狂わされるなんてもったいない。いつまでも嘆いているうちに短い人生は終わってしまうのだ。負の感情を日々のなすことと同じように、一つ一つをしっかり終わらせることで、また次の前への活力に繋がる。今日嫌なことがあったら、片付けして、掃除して、お風呂に長く入って、ぐっすり眠ればいい。負の感情を引きづらない人になる。失恋したら綺麗になる人ってそんなことからかもしれない。



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