ナチュラル
2018年3月12日
僕は病気を治すことが仕事です。しかし治らない病はあるし、生命の老化には勝てない。ガンや血管病変にも。昔よく耳にした「ナチュラルコース」という言葉は、ガンや末期の臓器不全で生命を脅やかされているときに蘇生や積極的治療をしないことを指すが、こうなると一般に医師は本当に何もしない。温かい言葉は使うかも知れない。しかし無力感に襲われたことが多かった。
患者さん自身も「自然に逝きたい」とよく言う。でも何が自然か?愛する人には一日でも長く生きていて欲しいし、一緒にいたい。そして医師として、医療者としてその気持ちに応えたい。取れる苦しみはなるべく取りたい。それにはカテーテルや点滴を用いる。それらが自然な感情ではないか?これから死別する心の準備だって必要だ。感謝の気持ちだって伝えたい。僕はこれらが「ナチュラルコース」だと考えている。
ノセボとプラセボ
2018年3月5日
温かい日があると、春の訪れを感じます。しかし僕の場合は、あちこちが痒くなります。どうしても逃れられないスギアレルギーです。ある事象に対して心理的に負の効果をもたらすことを「ノセボ効果」と言います。薬に例えると、副作用に吐き気があると聞いたら、副作用の頻度が1%以下でも吐き気を訴える人が10%に上がったりします。逆に正の効果をもたらすのは「プラセボ効果」です。薬効のない薬を飲んだだけで効いた感じがするのは、この心理的な要素です。「鼻くそ丸めて万金丹」ということわざもあることから、昔から知られています。精神状態により同じ薬でも効くときと効かないときがあるのです。適正な薬を処方し、なおかつ皆さんに安心してもらいプラセボ効果を引き出したいとも考えています。
3月1日
2018年3月1日
3月は一番苦手な月です。まずその理由はスギ花粉が飛び、抗アレルギー薬を服用していていつも眠いからです。もう一つは、進級や進学、転勤などで慣れ親しんだ周りの人たちと別れる寂しい季節だからです。これまでに多くの仲間たちとの別離を経験しました。その感覚は皆さんもお持ちかと思います。そんな月だからこそ仲間を大事にしたいと思います。3月Marchの語源は、ローマの軍神Marsにあり、「前進」や「行進」などの始まりを意味する言葉です。古代ローマ暦では3月から一年が始まるのです。
今日3月1日は、病院を創設した祖父の誕生日です。
母指
2018年2月26日
先日患者さんに「母指が痛い」と言われて、人差し指を見せられました。解剖的には第一指が母指、人差し指は示指です。その患者さんは俗に言う「お母さん指」をイメージしたのだと思われました。第一指を「お父さん」または「男」と表現するのは日本独特なもので、世界的には「親」または「母親」を意味するようです。母指を上に向けて立たせるthumbs(英語で母指)upはSNSでよく使われますが、母親が立って喜んでくれるイメージでしょうか。
いつも僕たちを温かく見守ってくれている当院の三角先生です。
困難事例って
2018年2月22日
精神疾患を持っていたり、社会的背景から他医より「困難事例」として紹介になるケースがあります。大きな病院いわゆる基幹病院に通院や入院されていた方がほとんどですが、当院のスタッフはもちろん、有隣会のケアマネジャーや訪問看護と力を併せて、わかくさ病院と出会えて良かったと思ってくれるように頑張りたいと思っています。他の医療機関では困難事例と言われても、当院ではチームで力を合わせて「やり甲斐事例」にしていきたいと思っています。写真は朝からやる気の出る病院の検食です。